美容栄養学の専門家*池上淳子の深堀り情報ブログ

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肥満の原因は脂肪or糖質orタンパク質、どれ?

 

1.エネルギーとは

 

人は生きていく中で、エネルギーが必要である。車のガソリンのようなもので、単位はkcal(キロカロリー)で表現される。多くの栄養素の中で、エネルギー源になるものは3大栄養素と言われている糖質、タンパク質、脂肪の3つである。

脂肪は、生物が利用できる他のエネルギー源で、糖質やタンパク質と比べて、同じ重さ当たりに含まれているエネルギーが大きい。糖質やタンパク質は1gあたり4kcalに対して、脂肪は1gあたり9kcalである。

動物の重要なエネルギー貯蔵物質のひとつである グリコーゲンは、グルコースが多数連なったものであり、生体内では多くの水分子と結合している為、重くなる。

 

 

1gのグリコーゲンは3~5gの水分を保持する。

筋グリコーゲンの貯蔵量は約400g(1600kcal)=1200~2000gの水分が増加

肝グリコーゲンの貯蔵量は約100g(400kcal)=300~500gの水分が増加

合計:1500~2500g

 

2.エネルギーの貯蔵

 

それに対して脂肪は疎水性が高い為、水とは結合しない。このため生体内では、結合している水を含めた実質的な重量当たりで比較すると、脂肪はグリコーゲンの約6倍のエネルギーを蓄えることができる。その脂肪があるおかげで、大量のエネルギーが貯蔵されており、カラダの機動性を損なうことない。脂肪は最も適した生体物質であると言える。実際、成人では(個人差はある)、数か月食べなくても生きていけるくらいのエネルギーが脂肪として蓄えられているが、グリコーゲンは24 時間分しか蓄えられていない。グリコーゲンは短期的なエネルギー貯蔵形態であるのに対し、脂肪は長期的かつ大量の貯蔵形態といえる。

 

3.食べた油がカラダの脂肪になる訳ではない

 

油(脂肪)の多い食品を食べることが、体に脂肪がつく直接の原因ではない。脂肪は3大栄養素の1つで、毎日の食事に欠かせない重要な栄養素である。エネルギー源以外に、細胞膜やホルモンの材料等としての働きがある。体に脂肪がついて体重が増えるのは、エネルギーのバランスが悪い為である。消費する以上のエネルギーを摂取すれば、体重は増える。脂肪はエネルギーが凝縮されたものではあるが、食事から完全に脂肪を抜く事はしてはいけない。アーモンドやくるみ等の種実類やアボカド、胡麻などは、質の良い油で、食べ応えもあり、満腹感をもらたらせてくれる。「脂肪分の多い食べ物」としてしまうと、ポテトチップス、フライドポテト、ケーキなどが浮かぶが、種実やアボカド等と同じカテゴリーではない。

摂り過ぎに注意して欲しい油は、バター、生クリーム、肉の脂、マーガリン、ショートニングなど(市販の菓子や菓子パン、加工品に要注意)

摂って欲しい油は、オリーブオイル、米油、亜麻仁油、えごま油、ココナッツオイル、魚油などは健康効果が高い。いずれもカロリーは大さじ1程度で100kcalある為、摂り過ぎは注意である。1日の目安は成人女性で、500kcal程度である。

 

4.太る原因はなに?

 

カロリー過多、偏った食事、運動不足、それらは直接的に太る原因になる。カロリーは脂肪だけではなく、炭水化物やタンパク質でも摂り過ぎたらカロリー過多になり太る。要は食べ過ぎが肥満の原因である。脂肪がそのまま体の中性脂肪にならない・・そうして間違ったひとつの考えが誕生した。

 

5.糖質(炭水化物)が太る原因?

 

 肥満の原因として炭水化物を敵視する傾向が強くなっている。炭水化物はここ数年で悪役になり、手っとり早く体重を落とすための短期的なダイエットでは、まず炭水化物を抜く方法がとられている。

これに関しては、「ダイエットを始めてすぐに3㎏体重減少する理由」↓を参照

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炭水化物の場合も、大切なのは摂取量と他栄養素とのバランスである。炭水化物が脂肪になるのは、炭水化物の摂り過ぎ、偏った食事、運動不足という条件が必要である。炭水化物の種類は、脂肪と同じで、糖質の多い食品として、果物とケーキを同じカテゴリーに入れてはいけない。問題なのは、精製された加工度の高い炭水化物である。砂糖、砂糖の入っている食品を制限するのは意味がある。砂糖は栄養価が低く、エネルギー量が高い。消化管からの吸収が早く、血糖値を急激に上げて、脂肪生成を促進し、老化促進物質であるAGEを多くつくるリスクがある。摂って欲しい炭水化物は精製度の低い玄米や雑穀、全粒粉など。食物繊維が豊富で腸内環境を整える働きもある。ビタミン、ミネラルも豊富で血糖値の急上昇も無い。正に健康を支える大切なエネルギー源である。また、果物も糖質は多いが食物繊維やビタミン、ミネラル、又健康効果の高いファイトケミカル(植物のチカラ)も豊富な為、抗酸化作用も期待出来る。ジュースではなく、生フルーツの状態で摂って欲しい。

 

6.肥満の原因は脂肪or糖質orタンパク質 

 

 答えは、全て肥満の原因である。偏って食べないことが重要。タンパク質であっても摂り過ぎるとカロリー過多になり中性脂肪が作られる。バランスの良い食事を。

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